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虚蝉 〜記憶の彼方〜

人生の岐路に立たされた時。
自分というものを見つけられない時。
辛いという感情さえ、よく分からない時。


頑張れと言われても、なにを頑張っていいのかも分からない。叫び方さえわからない。

主人公は、自分を失ったが故に、無意識に家から逃げ出し、一人の少女と出会う。

まるで人形のような少女、沙織。

大人しく、口調も丁寧なのに、どこか変わっている。

だが、そんな彼女も主人公と出会い、少しだけ態度を和らげて、主人公と打ち解けていった。

人の顔色をみることに疲れた主人公も、そんな彼女に惹かれていく自分を止められない。

それは、少しだけ強くなれる、恋物語。

――1970年、7月下旬。
昭和45年、八月を一週間前にひかえた日のことだった。








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沙織 

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